- 2012年5月8日
- ロケ地である石垣島、竹富島は那覇から飛行機で1時間、目の前は台湾である。快晴の暑い日。この日は大事な行事『お祓い』。スタッフ一同、それに加え、「石垣島の空気を知りたい!」と先乗りしていた青柳翔さんもお祓い場所である神社に向かう。本土でのお祓いは、神主さんが祝詞をあげ、清めのお酒を飲んで終わるというのが一般的だ。しかしこの日は違った。沖縄風の、ユタさん(巫女)をお呼びして、撮影の成功、安全の祈願をしていただいた。ユタさんは全体的な注意事項を話したあと、一人一人の干支を聞き、占いの様に注意する点を挙げていく。監督も、青柳さんも、プロデューサーの西さんも。私、辰年の場合、「年男、年女は、人との出会いが増える。悪い方向に引っ張られる事も多いから注意しなさい」との事。撮影前日ながらいろいろな事を考えてしまった。最後は泡盛を飲んで清める。本土とは違った軽いカルチャーショックと共に石垣島でのスタートを実感した。
- 5月9日
- いよいよ初日。薄曇り。以前ロケハンで来た石垣島は快晴だったのだが・・・まあ、こういう事は良くある。撮影場所はWWFサンゴ礁保護研究センター『白保サンゴ村』の自然保護室をお借りした。劇中の設定でも自然保護官の事務所、メインの芝居場所である。ここは、中前監督が惚れ込んだだけあって、建物中央に吹き抜けがある南国的で開放的な作り。いよいよクランクイン。現場はたしかに時間がなく、ぴりぴりとした中、芝居は続く。しかし、癖のあるキャストの皆様である。すぐに空気感は作られていき、監督の指示で、各々のキャラクターはどんどん膨らんでいき、生き生きとした楽しい芝居が飛び出して来る。初日から夜までの撮影。そして撮影隊が不安に思っていた『台風』のシーンである。劇中でも大きな意味を持つ台風。しかし離島に特殊撮影機器はあまり無くどこまで撮れるか。結果は映画でご覧いただきたい。全体に明るいタッチのこの作品の中で、シリアスな緊迫感のある画がとれたのではないかと思う。初日からこの大変なシーン。挑んでいただいたキャスト、準備してくれたスタッフに感謝!
- 5月12日
- キャストとともに、もう一つの主役『サンゴ』の登場である。サンゴはとてもデリケートな生物である。移動、衝撃、水の変化などによりすぐに死んでしまうと言う。『石垣島ドリーム観光』、劇中では木崎のダイビングショップ。個人でサンゴの栽培に挑戦する木崎。その事務所には、地元サンゴ養殖研究班のご協力により、見事に水槽に並んだサンゴが! 映画に説得力を持たせる事ができた。
- 5月14日
- この日はヒロイン、リサこと佐々木希さんの初日。矢島、岸谷と出会う大事な場面。撮影場所は『サンセットビーチ』。これぞ石垣島という美しい海岸である。南国で撮影する場合、恐ろしいのが天候である。突然のスコール、灼熱の太陽、コロコロと変わる天候、そして台風・・・ 今回は更に、潮位の恐ろしさも知った。海の表情が全然違う・・・この日は抜けるような青空。海と空が見事なまでに美しい。撮影中はキャストも、スタッフもみんな海の中へ。ずぶぬれだった。
- 5月16日
- 撮影も進み、美しい宝石のような『竹富島』での撮影。撮影中にも『牛車』が走り、中断する。花が咲き乱れるのどかな島。島風の作りの平屋で、矢島達レンジャーを歓待する宴が。実際ほろ酔いで三線を弾いて、踊ってくれた現地の皆様。ほんわかするシーンになった。
- 5月22日
- いよいよ撮影も最終日。しかし最後までキツイ撮影が続く。海岸で岸谷、リサと子供達が矢島を説得する。重要なシーン。子供達も一生懸命芝居して、大人達も緊迫感が高まる。シーンを撮り終え、なごやかに集合写真を撮ったあとも、さらに今日の山場は続く。海上撮影。以前雨天順延になっていた大変なシーン。巫女さんにも「気をつけなさい」と言われていた。撮影チームは三台の船に分乗して出発する。与儀と矢島が海の上で対峙する短いシーンではあるが海上の撮影は、危険も多くとにかく時間がかかる。皆が不安な中、青柳さんは、とても大胆に海に飛びこんでくれた。与儀を演じた、夏八木勲さんの迫真のすごい迫力!更に地元の漁師さんの協力により、漁船がぐるぐる回る、ダイナミックなシーン。石垣の海を、キレイに写せたのではないかな。これも映画でご覧いただきたい。
とにもかくにも、2週間という強行スケジュール。石垣の天気にも恵まれて、舞台である石垣島を、美しく、そして繊細に撮影する事ができた。
スタッフ、キャスト、地元の皆様の大変なご協力によって成立した、思い出深い作品。見るたびに、石垣島、竹富島に行きたくなる事は、間違いない!